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再生医療とリハビリを考えるときに知っておきたいこと

監修:リハビリテーション科専門医(自費リハナビ 運営者代表)最終更新日:2026年9月22日

このページは、特定の治療や医療機関を勧めるものではありません。再生医療を検討するときに確認しておきたいことを、学会のガイドラインや国の資料をもとにまとめています。監修者は、自費訪問リハビリ「ひろがり」の運営にも携わっています(運営者情報)。

はじめに

脳卒中などの後遺症が残ると、「少しでもよくなる方法はないか」と、新しい治療を探す方は少なくありません。その中で「再生医療」という言葉を目にすることがあると思います。

再生医療には、国の承認を受けて保険で受けられるものから、研究の段階にあるもの、自由診療で行われているものまで、さまざまな種類があります。同じ「再生医療」という言葉でも、中身や、研究でどこまでわかっているかは大きく異なります。

再生医療の研究は現在も進んでおり、治験や臨床研究として検討されている治療もあります。大切なのは、「再生医療」という名前だけで判断せず、その治療が今どの段階にあるのかを確認することです。

このページでは、再生医療を検討するときに知っておきたいことを、次の順にまとめています。

  1. まず急性期の治療を優先する
  2. 再生医療だけを優先して、リハビリをおろそかにしない
  3. 「再生医療」をひとくくりにしない
  4. 検討するときに確認したいこと
  5. 公的な情報の調べ方
  6. 相談の順番

1. まず急性期の治療を優先する

脳卒中は、発症してからの時間が治療に大きく影響する病気です。

  • 脳梗塞では、発症から4.5時間以内であれば、血栓を溶かす薬(rt-PA)による治療を検討できます。
  • 太い血管が詰まった場合は、カテーテルで血栓を取り除く治療(血栓回収療法)があり、条件によっては発症から24時間以内まで検討されます。

顔のゆがみ・腕の力が入らない・言葉が出にくいなどの症状が出たら、すぐに救急車を呼び、症状が出た時刻を伝えてください。新しい治療を探すことより、まず急性期の治療を受けることが最優先です。

なお、日本脳卒中学会のガイドライン(2021〔改訂2025〕)では、脳梗塞急性期に神経再生療法を行うことは「勧められない」とされています(推奨度D、エビデンスレベル低)。有効性はまだ確認されておらず、海外で大規模な試験が続けられている段階です。

2. 再生医療だけを優先して、リハビリをおろそかにしない

再生医療を受けることを考えるあまり、日々の運動や活動、通常のリハビリが減ってしまうことがあります。

再生医療の中には、リハビリと並行して行うことを前提にしている治療もあります。例えば、国に提出された脳卒中の後遺症に対する再生医療の説明文書の中には、慢性期には外来・訪問・地域のリハビリを続けることを勧め、まだリハビリを受けていない場合は受けるよう勧める記載があります(これは一つの医療機関の説明文書の例で、国がすべての再生医療に求めている条件ではありません)。

再生医療を検討する場合でも、日々の活動や、必要に応じたリハビリをどう続けるかを一緒に考えることが大切です。治療を受ける医療機関に、治療の前後にどのようなリハビリを行うのかも確認してください。

3. 「再生医療」をひとくくりにしない

再生医療は、大きく次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

(1) 国の承認を受けた製品

国(厚生労働省)が審査して承認した再生医療等製品です。例えば、外傷性脊髄損傷に対する「ステミラック注」は、2018年に条件及び期限付承認を受けた再生医療等製品です。

2026年9月時点で、脳卒中(脳梗塞・脳出血)に対して承認された幹細胞の製品はありません。

(2) 治験・臨床研究

新しい治療の有効性や安全性を確かめるために行われる研究です。参加できる人の条件(病気の種類・時期・年齢など)が決まっており、研究の計画は公的なデータベースに登録されています(「5. 公的な情報の調べ方」を参照)。例えば、脳梗塞の患者さん自身の骨髄から取り出して培養した幹細胞を点滴する治療について、有効性と安全性を確かめる治験が登録されています。

(3) 自由診療として行われるもの

保険が使えず、費用は全額自己負担です。さらに、法律上の扱いによって次の2つに分かれます。

再生医療等安全性確保法の対象になるもの

細胞を使う治療(患者さん自身の脂肪や骨髄から取り出した幹細胞を点滴する治療など)は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいて行われます。

  • 治療のリスクに応じて第一種〜第三種に分かれます。
  • 医療機関は、専門の委員会の審査を受けたうえで、国に提供計画を提出する必要があります。
  • 提出された計画は、厚生労働省のサイト(e-再生医療)で調べられます。

PRP(自分の血液から血小板を多く含む成分を取り出して注射する治療)も、この法律に基づく再生医療等として提供されるものがあります。

注意したいのは、「国に計画を提出している」ことは、「国が効果を認めた」という意味ではないことです。計画の提出は安全性を確保するための手続きで、国が治療の有効性を審査して認めたものではありません。厚生労働省の資料でも、この点を誤解している人が多いことが指摘されています。

再生医療等安全性確保法の対象にならないもの

「幹細胞培養上清液(幹細胞上清液)」や「エクソソーム」は、幹細胞を育てたときの液や、細胞が出す小さな粒子を使うもので、細胞そのものは含みません。そのため、現在はこの法律の対象外で、提供計画の提出もありません。

厚生労働省は2024年7月、これらについて、国内外で有効性・安全性が確認され承認された製品はないこと、行う場合は医師の責任で特に安全性に注意することを周知しています。法律の適用のあり方は、国で検討が続いています。

「再生医療」と案内されていても、細胞を使う治療なのか、上清液などを使う治療なのかで、法律上の扱いが異なります。

4. 検討するときに確認したいこと

再生医療を検討する場合は、治療を行う医療機関に、次のことを確認してください。

  1. 何を使う治療か自分の細胞か、他人の細胞か。細胞そのものか、上清液などか。
  2. 対象の病気・時期自分の病気や、発症からの時期が対象になっているか。
  3. 治療の位置づけ国の承認を受けた治療か、治験・臨床研究か、自由診療か。自由診療の場合、再生医療等安全性確保法に基づく提供計画を提出しているか。
  4. 研究でどこまでわかっているか人を対象にした研究の結果があるか。どのような人で、どの程度の変化が見られたか。
  5. 費用総額はいくらか。追加の費用(検査・入院・通院・リハビリ)はかかるか。
  6. リスクどのような副作用や合併症が起こりうるか。起きたときにどう対応してもらえるか。
  7. 治療後のリハビリ治療の前後に、どのようなリハビリを、どこで、どのくらい行うか。
  8. ほかの選択肢この治療を受けない場合に、標準的な治療・リハビリ・経過観察など、どのような選択肢があるか。
  9. 途中でやめた場合の扱い複数回のコースの場合、途中で中止したときの費用・返金・その後のフォローはどうなるか。

説明を受けたら、説明文書(同意書)を受け取っておくと安心です。特に費用の高い自由診療では、総額と、途中でやめた場合の扱いを事前に確認してください。

5. 公的な情報の調べ方

6. 相談の順番

  1. まず主治医に相談する:今の状態で、どのような治療・リハビリが考えられるかを確認します。
  2. 必要ならセカンドオピニオンを受ける:別の専門医の意見を聞くことで、判断の材料が増えます。
  3. 検討している医療機関に直接確認する:「4. 検討するときに確認したいこと」の9項目を、治療を行う医療機関に直接確認します。

主治医に相談しにくい場合でも、セカンドオピニオンを利用する方法があります。

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参考資料(2026年9月22日確認)